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車で館山を訪れる時、館山自動車道を降りて内房なぎさラインを通り、
市街地へ差し掛かったあたりでいきなり現れる、崖に張り付いた真っ赤なお堂。
初めてみた人は結構驚かれると思いますが、こちらが船形山大福寺です。
宗派は真言宗で、8世紀の開基と伝わっています。
お堂は観音堂で、何故崖沿いに建てられているかというと、
崖に掘られた観音様をお祀りしているからなのです。
地元では親しみこめて「崖の観音様」と呼ばれています。
崖や巨石に仏像を彫ったものを磨崖仏といい、日本では古く平安時代から全国各地で造られています。
有名なものですと大分県の臼杵磨崖仏、奈良県大野寺磨崖仏があります。
大福寺の観音様もこうした磨崖仏ですが、
造られた時代は大福寺の縁起が火災で不明となりよく分かっていません。
室町時代頃なのではと考えられています。
大福寺へは、車でしたら内房なぎさラインから一本入ったところに駐車場があります。
電車でしたら那古船形駅から歩いて15分ほどです。
まずは本堂でお参りして、観音堂へ向けて登っていきます。
結構な高さがあるな…と登る前は感じますが、そんなに大変ではありません。
途中お不動様のお堂に寄りながら、10分くらいで観音堂まで到着できます。
お不動様辺りから観音堂までは、むき出しの地層を見ながらの移動です。
幾重にも堆積した痕を残す凝灰岩は特に観音堂裏手ですごい迫力で迫ってきます。
朱塗りの観音堂の内部では、堂内中央の参拝所でお参りをします。
この奥に磨崖の観音様が祀られているのですが、中々に風化著しいお姿です。
それでも大分県で見たもう擦り切れてワクしか分からない、というまで酷くはなく、
法会のひだや光背、腕・顔の形はわかります。
江戸時代まではお堂が廃れていたようなので、長い年月風雨に晒されていたのでしょう。歴史を感じさせます。
お堂では他に、地元の方々が奉納したお花の絵の天井画や、
左甚五郎作と伝わる欄間の彫刻を見学できます。
そしてお堂からの見晴らしは最高!州崎まで館山湾を一望できます。
住宅地や漁港の方まで見渡せて、ここから観音様は地元を見守ってくださっているのだなあと思いました。
景色と合わせて中々癒されたひと時でした。
内房のドライブでは道の駅など多くてそちらで休憩する事が多いですが、
たまにはこういう休憩もいかがでしょう?