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国内でも有数の温泉地である別府。

別府八湯という名称の温泉郷を中心に、様々な泉質が楽しめる温泉テーマパークです。

八湯の中でも鉄輪、観海寺、別府が有名ですが、西部の山沿いにある明礬温泉も魅力溢れる温泉郷。


高台にあるので別府の街並みと別府湾を見渡せる最高のロケーション、
そしてあちこちに藁ぶき屋根の小屋が並ぶという珍しい風景が特色です。

この小屋は温泉から湯の花を採取するために造られたもので、江戸時代から続く
その製作技術は国重要無形文化財に指定されています。
湯の花作りの過程を見学できる施設もあるというので、これをお目当てに明礬温泉を訪れました。

【湯の花小屋訪問レポート】
九州を横断する国道500号線を鉄輪温泉からさらに登り、
山の傾斜がきつくなり始めた辺りで見えてくるのが明礬温泉です。
斜面地にある温泉郷ですが、中小規模の温泉旅館や観光施設が立ち並び、
それでいて鄙びた良い雰囲気が残ります。
温泉郷のいちばん奥にあるのが「明礬湯の里」で、
こちらでは湯の花の製造・販売のほか、湯の花小屋の見学、温泉日帰り入浴、
お土産販売にレストランと様々な楽しみ方ができます。

元々湯の花小屋は、湯の花を原料にミョウバンを製造するために造られた施設でした。
現代でミョウバンといえば茄子の漬物やウニの保存といった使用法しか身近にありませんが、
江戸時代には染物、薬、絵画など様々な利用方法がありました。
明治に入り安価なミョウバンが輸入されるようになると製造を終え、
その後は湯の花のみの製造・販売となっています。

湯の花小屋の見学は無料で、製造過程毎に説明された湯の花小屋に入る事ができます。
湯の花は地面から出る温泉成分の硫化ガスと、
この地特有の鉄分を多く含む青粘土の成分が結晶してできます。
蒸気がよく出る場所に小屋を作り、その中に石と青粘土を敷き詰めます。
そして青粘土の表面に湯の花の結晶ができるといった具合です。
こうした過程を中々細かく詳しく知る事ができます。
青粘土の上一面に広がる結晶を間近で見る事もでき、できたての真っ白な湯の花はとても美しいです。

湯の花は1日1ミリ程度しか結晶しないので、採取できるようになるまでは2ヶ月もかかるそうです。
しかも小屋の屋根の藁は蒸気にやられて3年で葺き変えなければならないのだそう。
湯の花はとってもじっくり丁寧に作られている製品なのですね。

こうして完成した湯の花は、他の温泉でみられる沈殿物としての湯の花と違い、お湯にいれるとサラっと溶けます。
そしてお湯の性質を明礬温泉と同じ酸性泉に変えるのです。
この特性を生かし、入浴剤以外にもヘアケアやボディジェルに利用されています。
明礬温泉の持つ殺菌力や保湿性がこうした製品に合うのだそうで、
今後も様々な商品化が検討されているそうです。どんな風に使われるのか楽しみです。

【湯の花漂う展望露天風呂に入ってみよう】
湯の花小屋を見学した後は、実際に明礬温泉に入浴してみました。
湯の花小屋の背後にある高台(この階段を登るのが結構ツラい!)にある入浴施設は大人600円、
子ども300円で内湯と露天風呂が楽しめます。
タオル等のアメニティも受付で販売されていますので、手ぶらで行っても安心です。

ここのおすすめは何といっても、素晴らしい景色味わえる展望露天風呂です。
冒頭にも書きましたが、別府湾まで見通せる最高の眺め。高速道路の橋脚も邪魔に感じる人もいるそうですが、
私はこれも中々良いのでは?と思っています。そして夜には別府の街の夜景も味わえるのです。
背後は山で建物は無く、広々とした岩造りの湯船も開放感満点です。
多少の雨が降っても浸かっていられるように被り傘が準備されているのも嬉しいです。

肝心の温泉は泉質が酸性硫化水素泉・緑ばん泉、細かい湯の花が舞い乳白色でトロリとした感触で、
ほんのり硫黄の香りがします。
少々熱めですが露天風呂だと丁度良く感じます。
のぼせてきたら岩風呂のへりに腰掛けて景色を楽しみ、
冷めたらまたお湯の中へ…といった具合にいつまでも楽しめてしまいます。
効能として謳われるのは皮膚病、神経痛、リューマチで、美肌にも良いとされています。
確かに湯上りは肌がしっとりと柔らかくなりました。
酸性のお湯のはずなのにまるでアルカリ泉に浸かったようです。

内湯は露天に比べればこじんまりとした造りで、別府にたくさんある公共浴場の、古き良き面影を持っています。
木造りの湯船も小ぶりなもので、そのためかお湯は露天風呂よりも新鮮に感じました。
蒸気も篭る浴室で熱めのお湯にじっくり浸かる…露天風呂とはまた違った趣きが楽しめます。

お風呂を出て受付に戻ると、どうしても気になってしまうのが温泉蒸しの玉子やとうもろこし。
受付前にある簡易ベンチ(全部屋外にあるのです)で湯冷まししながら食べると格別です。
ビールも売られていて誘惑に負けそうでしたが、運転があるのでラムネで我慢です。

お風呂はここ以外に家族風呂があり、何と湯の花小屋の中に浴室が設えるという風情あるもの。
1棟1時間2000円程度で入れますので、いつか味わってみたいと思っています。

【湯の花小屋周辺で湯めぐりを楽しもう】
お土産屋やレストランもある明礬湯の里だけでも十分楽しめますが、
周辺には個性のある温泉旅館がたくさんあり、こちらをまわるのがおすすめです。
「別府温泉保養ランド」では泥湯・コロイド湯・酸性緑ばん湯と様々な温泉が楽しめます。
「岡本屋旅館」のお湯は青みがかった白濁泉が何とも美しく、
冬の露天風呂にはザボン(大きな柑橘類)が浮かびます。
「湯元屋旅館」の温泉は通人が絶賛する泉質を持ち、明礬泉という緑がかった薄灰色の濁り湯が味わえます。
温泉めぐりの後は、湯の花小屋に囲まれた「岡本屋売店」にて名物地獄蒸しプリン
(バナナやイチゴ、コーヒー味など色々あるのです!)で一休み。
湯の花小屋見学に来たつもりが、たっぷり1日遊んでしまいました。

湯の花小屋群という他では見られない風景と、抜群の泉質の温泉を楽しめる明礬温泉郷。
別府八湯の中ではイチオシの楽しさで、今度は泊まりで来たいなあと後ろ髪を引かれつつ帰りました。

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