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■怖いばかりではありません。こんな妖怪もいるんです!なんだか憎めない妖怪5選
妖怪と聞くと、不気味な風貌やおどろおどろしい雰囲気を連想することが多いのではないでしょうか。
確かに、絵巻などを見るとインパクトのある妖怪が目白押しですが、しかし、それと同じくらい、意外ととぼけた外見や、愛嬌のある姿で描かれているものも。
また、一見近づきがたい見た目をしていても、これといって悪さをしない無害なものもいるのです。
姿かたちや性質は妖怪によって千差万別。
ちょっとくすりとしてしまったり、「へえ」と驚いたり、予想外のかわいさにほっこりしてしまったりするような、そんな妖怪たちの一部をご紹介します。
【ぶるぶる】
漢字で書くと『震々』。
ひとが何かを怖がったり、ぞっとしたりしたときに身体が震えますが、そうしたときにはこのぶるぶるが襟もとに憑りついているのだといいます。
別名を臆病神ともいうそうで、神様の一種であると窺えますが、絵に表されるぶるぶるは、震える手で筆を持ったように歪んだ線で描かれていて、およそ神様らしからぬ弱々しさ。
名は体を表すとはこのことか、と妙なところで納得してしまいそうな妖怪です。
【さとり】
山に住む大きな猿に似た妖怪で、人間の心を読む力を持っています。
考えていることを見透かされるのは不気味なものの、さとりは相手の心を読んだからといって何をするわけでもありません。
むしろ、人間がさとりを傷つけようと考えるとそれを察知し、何かされる前に逃げてしまいます。
大猿そっくりという怖そうな外見ですが、実は争いごとを好まない、穏やかな気性の持ち主なのでしょうか。
【日和坊】(ひよりぼう)
現在の茨城県の北東部の深山に、天気の良い日に現れるという妖怪。
雨の日には姿が見えず、晴れた日にだけ見ることができるそうで、『てるてる坊主』を作って晴れを祈る風習は、この日和坊が元ネタなのではとないかとする説もあります。
てるてる坊主の意外なルーツが垣間見えた気がして、ちょっと「へえ」と呟きたくなりませんか?
【すねこすり】
映画『妖怪大戦争』で、主人公のパートナーとして大活躍したすねこすり。
映画を観てご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
伝承では、夜に道を歩いているひとの足もとをすり抜けたり、まとわりついたりして歩きにくくさせる、小さな動物の姿をした妖怪です。
歩きにくくさせるだけでそれ以外に害はなく、動物好きなひとであればうっとおしさや煩わしさよりも先に「かわいい!」と思ってしまいそうです。
【豆腐小僧】
頭に笠をかぶり、小僧の格好をした妖怪。
名前が示す通り、豆腐が一丁載ったお盆を手に持っています。
目がひとつだったり、長い舌を出していたり、描かれる姿は色々ですが、この妖怪も特に悪さをすることはないようです。
どちらかというと地味な部類に思えますが、どうも江戸時代辺りには人気の妖怪だったらしく、凧の絵柄に用いられていたのだとか。
今でいうゆるキャラやマスコットのような感覚だったのでしょうか。
ご紹介した豆腐小僧に限らず、江戸時代には妖怪カルタや妖怪すごろくといった子供の遊び道具や、絵巻や読本などの書物類にて、妖怪は数多く取り上げられ、登場していました。
このように親しまれた経緯があったからこそ、現在の日本にも妖怪文化が受け継がれているのではないでしょうか。
【参考文献】
(監修・高田衛/編・稲田篤信、田中直日)鳥山石燕『画図百鬼夜行』(国書刊行会、2001年)
編・小松和彦『日本妖怪学大全』(小学館、2003年)