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今の日本では、全国津々浦々にドラッグストアーができ、
軽い風邪や下痢をおこしても、市販薬を手軽に手に入れる事ができます。
では、昔の人々、特に交通の不便な山村のような僻地の村ではどうしてきたのでしょうか。


それは、江戸の時代から置き薬、特に「富山の薬売り」達が日本全国を周って歩き、その役を担ってきました。
近世では、商人が紙風船のようなおもちゃを持って回りましたが、
元々は僧侶がおどろおどろしい地獄絵を持って人々に仏教の教えを説きながら歩いたそうです。
 
富山は、「反魂丹」のような製薬で有名ですが、日本でも有数の黒部峡谷をはじめとした
北アルプスを抱えた有数の山岳地域です。
その中でも立山は、日本三霊山の一つであり山岳信仰の聖地として人々に親しまれてきました。
その修行僧が、日本全国に布教して歩く折りに当時富山で作られるようになった薬を持っていき、
人々に分け与えるようになったのが、「富山の薬売り」の発祥になったとのことです。

その立山への山岳観光ルートの入り口、立山駅近くに富山県[立山博物館]があります。
モダンな展示館を中心に13ヘクタールの広大な敷地内に「うば堂基壇」や宿坊・民家、
カモシカ園等の施設を分散しています。
雄大な立山の自然と一体となった立山信仰の歴史と文化を、五感で体験できるユニークな博物館です。
現世で悪事を行った人間の落ちる地獄のさまを、極彩色で具体的に描いた立山曼荼羅を
この展示館で観ることができます。
これは、人々に仏の教えを説くのに使われたそうです。

また、立山は女人禁制の山ですが、秋の彼岸には、女性たちも、
真っ赤な立山布橋の白布の上を通り姥堂で祈願すれば、山で修行したように救われるとされています。
この女性を救済するための儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」は現在も行われ、
日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」に登録されています。
遙望館でこの「死」からの感動的な「転生」を疑似体験することができ、まさに生まれ変わったような気分になります。
ここから立山に向かうと、落差350mという日本有数の落差を持つ称名滝があります。
特に秋には、赤や黄色の山肌を背景にしての景色は格別です。
この滝の上には、弥陀ヶ原という美しい湿原があり、みくりが池、血の池、地獄谷と
立山の自然が曼荼羅の世界そのものとなっており、その雄大な風景と悠久の時に想いを馳せると感無量です。

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