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検尿とは尿検査の事、つまり尿を検査する事です。
では、検査したら何が分かるのでしょうか?
その理由を知る為には、まず尿に何が含まれているか、どのようにできるかを簡単に説明します。
尿の95%は水分で、残りは固形物です。
通常、1日の尿量は1-1.5リットル程度です。固形物の割合で尿の比重が決まります。
尿比重は1.003-1.030で、通常、固形物の量は変化しないので、水分の量で比重は変わってきます。
では、この尿はどのようにできるのでしょうか?
口から入った水分は大腸で吸収され、血液に入ります。
また、食物は主に小腸で消化・吸収されます。
吸収された栄養分は血液に入り、各臓器に運ばれ使われます。
使われた後の栄養分は老廃物となり、血液中に戻ります。
この水分と老廃物は血液により腎臓に運ばれ、濾しとられ尿になります。
つまり、腎臓は“ふるい”の様な働きをし、尿の中には体の老廃物が含まれているのです。
さて、それでは、尿中に何が出てくると異常となるかを考えてみましょう。
通常の検査では最低でも、比重、PH、糖、潜血、タンパクの5項目を検査します。
比重は先ほどご説明した、水分と固形物の割合により決まります。
固形物の分量はほとんど変わる事がないので、水分量により変化する事になります。
水分量の変化は正常でも飲水量や発汗により簡単に変わり、病気を疑う時は脱水や腎機能の異常が考えられます。
また、尿糖やタンパクが多い時にも比重が増加します。
PHは通常では4.5-7.5と中性から弱酸性です。PHは正常でも食事により変化します。
肉食が多いと酸性寄りに、菜食が中心だとアルカリ性に偏りがちです。
基準値より酸性になる場合、考えられる病気は、下痢、通風、飢餓、呼吸不全等で、
アルカリ性になる場合は嘔吐、尿路の細菌感染等です。
次に糖ですが、これは皆様もご存知の通り、疑われる病気は糖尿病です。通常、血糖値が170mg/dl以上になると糖が尿中に出てきます。
まれに、血糖値が正常でも尿中に糖が出る事があり、これは腎性尿糖と呼ばれ、糖尿病ではありません。
さて、タンパクについてなのです。尿にタンパクがでる理由はいくつか考えられます。腎臓が“ふるい”の様な働きをしているとすでに説明しましたが、通常、タンパクはこの“ふるい”の目を通ることはできません。つまり、尿中にタンパクが出る場合は、①タンパクがふるいの目より小さい場合、②ふるいの目が何らかの理由により大きくなっている場合、③腎臓より後に尿中にタンパクが出てきた場合、この3つが考えられます。
①で考えられる病気は膠原病、溶血性貧血、多発性骨髄腫等です。②で考えられる病気はいわゆる腎臓病です。③で考えられる病気は、尿路(尿管、膀胱、尿道)の炎症、結石、腫瘍などです。
病気以外でもタンパクが陽性になる事があります。これは生理的蛋白尿と言って病気ではないのですが、1度の検尿だけでは判断できないので、この場合も再検査が必要となります。
最後に、潜血ですが、これは尿に血液が混じった状態です。腎臓から尿道までに出血の原因(結石による傷、炎症、腫瘍等)があるばあいに、尿に血液が混じります。
この他に、腎臓に溶血性貧血などで、尿に血液そのものではなく、破壊された血液の成分が混じる事により陽性となる事もあります。
また、ナットクラッカー症候群や良性家族性血尿と言って病気ではなくても尿潜血が陽性になる事がありますが、これは一度の検尿ではわからないので、再検査や、定期的な検査が必要となります。